Itoguchiスキンプロテクトクリーム開発秘話
Ⅰ.きっかけは、介護の現場から
Ⅱ.どうすれば喜んでいただける?処方の組み立てに悩むこと2年
Ⅲ.介護の現場にお届け
Ⅳ.これって、もしかして絹生活研究所のユーザーにもとても良いのでは?敏感肌にもフェムケアにも…
Ⅴ.香りへのこだわり、私たちがこだわるのは「微香」
2023年秋に発売したItoguchi SKIN PROTECT CREAM(イトグチ スキンプロテクトクリーム)。
乾燥する冬、花粉やPM2.5が気になる春、テクスチャーにこだわる夏…と、発売以来、徐々に徐々にお客さまが増え続けています。2024年3月に「シルク仕込みスキンケアシリーズ」の発売を控えていたため、あまり大きなプロモーションをすることもなく、ひっそりと仲間入りした製品でしたが、着実に存在感を増しています。
今回は、なぜこの製品が生まれたのか?普段はお話できない開発の裏話をお伝えしたいと思います。
Ⅰ.きっかけは、介護の現場から
スキンプロテクトクリームは、もともと介護用品を扱う会社のスタッフさんからいただいた声で開発が始まりました。
「褥瘡(じょくそう)(床ずれ)やオムツかぶれで苦しんでいる利用者さん達に、シルクでやさしくカバーできるような、そんなクリームを作ってくれませんか?」
という依頼でした。
当社が製造できるのは化粧品ですので、医薬品のように「治す」ことはできません。ただ、シルクで優しくつつみこんで、少しでも気持ちを和らげることができれば、世に出す価値はあると思い、共同開発をすることになりました。
Ⅱ.どうすれば喜んでいただける?処方の組み立てに悩むこと2年
褥瘡やおむつかぶれに使用するクリームは既にたくさんの製品が発売されています。どれも工夫を凝らした処方です。
いろいろ調べると混乱してしまい、サンプルづくりは難航していました。ですが、やるべきことは、まず「患部」と呼ばれる非常にデリケートな部分に使用するクリームですから、治療の妨げにならず、かつ「守る」こと、さらに当社の“みどりまゆ”シルクから抽出した保湿成分で、刺激を極力あたえずに保湿すること。
サンプル作りに2年を費やし、関係者一同が納得する処方がやっとできました。
こだわったポイントは、
●肌表面に撥水性の薄い保護膜
おむつの中で排泄したものが、お肌に付くことで炎症が起きるため、そもそもお肌に付かないようにすれば良いという考えです。まるでシルクのヴェールが守ってくれるような感覚です。
●すばやく乾いてべた付かない
顔と違い、おむつや衣類をすぐに着用するのですから、クリームが衣類に付着しないよう塗ったあとすぐサラリと乾くようにしています。
●お肌に近い保湿成分
当社が誇る“みどりまゆ”から抽出したシルク成分は、お肌の天然保湿因子NMFと構造が良く似ているため、スッとすばやく受け入れられ保湿してくれます。
●お肌に近い弱酸性
おむつの中は、お肌が弱アルカリ性に偏りやすくなっており、それが刺激となってかぶれにつながることも。クリームを弱酸性にすることで、その偏りを軽減させます。
Ⅲ.介護の現場にお届け
製品化されたクリームは、依頼をいただいた介護用品の会社を通じ、さっそく現場のみなさまに届けられました。
利用者のみなさまだけでなく、介護をする側の人たちからも、過酷な作業をしていてもクリームが守ってくれている、また、洗濯や掃除の前に塗っておくと、洗剤の刺激から守ってくれる等々、うれしい感想をたくさんいただきました。
その内、「全身に塗っています」「真冬に顔にも塗ったら快適だった」と、最初に想定していた使い方とは異なるご意見も多くいただくようになりました。
Ⅳ.これって、もしかして絹生活研究所のお客さまにもとても良いのでは?敏感肌にもフェムケアにも…
そんな中、このクリームはもしや、「守る」を目的とした化粧品として、絹生活研究所のお客さまに喜んでいただけるのでは?という声が社内でチラホラと出てきました。
大変デリケートな部分に使用できる処方ですし、撥水性の膜で物理的に肌を保護しているのだから、外的刺激をシャットアウトすることもできるはず。もちろんフェムケアにも使える…
そんな考えがスタッフの頭をよぎり、そこで、まず試験的に「ココニカルスキンヴェール」という商品を発売しました。
よくItoguchiのスキンプロテクトクリームと違いを聞かれますが、ココニカルスキンヴェールは若干固めのテクスチャーで、香りもティーツリーが少量香る程度です。塗り広げるというよりは、局所的に使用する際におススメです。好評な一方、もう少し塗り広げやすいもの、気分を盛り上げる香りがするもの、そして洗練されたパッケージで持ち歩きたい、といろいろなご意見をいただいたため、デザインを一新し、Itoguchiの新製品として発売することになりました。
介護用のクリーム、ココニカルスキンヴェールを経て、香りも見た目も華やぎ、かつしっかりとお肌を守ってくれる、プロテクトクリームの誕生です。
Ⅴ.香りへのこだわり、私たちがこだわるのは「微香」
Itoguchiのスキンケア製品をお使いになった皆さまはお気づきかもしれません。
Itoguchiはシリーズ共通して柑橘を主体にした精油で香りづけしていますが、使っている最中は香るけれど、しばらくすると消える、そんな短時間しか持続しない香りを心掛けております。
長く香りが続くと、別でつけるかもしれないフレグランスと合わないこともありますし、日常生活にはさまざまな香りがあるため、スキンケア商品で香りを強く主張する必要はないのでは、という思いが当社にはあります。
とはいいつつも、香りそのものはこだわっています。調香師に依頼して、Itoguchiが生まれた十日町のような、豊かな自然を思い浮かべられる特別なブレンドにしています。
介護の現場のお悩みから開発がはじまったクリーム。
Itoguchiではスキンケアにプラスして、さまざまな外的刺激から守ってくれるプロテクトクリームとしてのご使用をおすすめしています。
ハンドクリームやヒジヒザのクリームとしてはもちろん、いつものスキンケアだけだと少し物足りない時、水仕事の前後の保護として、花粉やPM2.5から物理的に守る盾として、デリケートゾーンに使うフェムケア用品として…、一つお持ちだとホッとする、そんなお守りのようなクリームをぜひ使ってみてください。