第2回「“みどりまゆ“はなぜ黄緑色? フラボノイドの魅力」
*INDEX*
Ⅰ.なぜ、“みどりまゆ”は黄緑色をしているのでしょうか?
Ⅱ.フラボノイドとは?
Ⅲ.5種類のフラボノイド
Ⅳ.生命の神秘
Ⅰ.なぜ、“みどりまゆ”は黄緑色をしているのでしょうか?
“まゆ”または“繭”と聞けば、思い浮かべるのは純白の色をした姿ではないでしょうか。一般的には、養蚕で生産する繭はほとんどが白繭です。なぜなら人間が白い糸を必要としてきたからです。
もともと野生の繭は、色がついているものがほとんどであり、子供のころに公園や野山で見かけた繭は、茶色や黒色や緑色をしていませんでしたか?白繭は人間が長い長い歴史の中で、品種改良を繰り返して生まれたものなのです。
絹生活研究所が生産している“みどりまゆ”は、野生の力を色濃く残した品種です。その“野生の力”の正体とは「フラボノイド」です。
蚕が食べる桑の葉にも多く含まれており、吸収したフラボノイドを糸に混ぜることで、黄緑色の繭を作ることが出来ます。これは色の付いた繭を作る品種の特徴で、一般的な白い繭を作る蚕は、いくら桑の葉をたくさん食べても白い繭しか作れません。白い繭はフラボノイドを糸に混ぜることはできない品種なのです。
不思議なことに、もともと桑の葉にあったフラボノイドは、蚕の体を通ることで、桑のものとは少し異なる構造のフラボノイドに変化します。まだまだ解明されていない謎が多い分野なので、これからの研究に期待しています。
Ⅱ.フラボノイドとは?
フラボノイドはポリフェノールの一種で、大豆のイソフラボンやお茶のカテキンなどもフラボノイドの一つです。他にも花や植物、果物の皮を色付けている色素の多くがフラボノイドからくるものです。
ポリフェノールといえば、酸化を防ぐ抗酸化力の強さで知られています。あらゆる病気の元となる活性酸素を抑制し、免疫機能を改善、自然治癒力を高める効果があると言われています。お肌のトラブルもこの酸化から来ているものが多いと言われています。
また、前回のコラムでお伝えした紫外線カット力についても、みどりまゆはフラボノイドがあることによって紫外線のA波・B波の両方をカットすることが出来ます。白繭はB波をカットすることはできますが、A波は防げません。紫外線B波は日焼けを引き起こし、シミやソバカスの原因にもなります。降り注ぐ紫外線A波の20%~30%は肌の奥の真皮層にまで届きダメージを与えます。A波を多く浴びると、肌は弾力を失い、シワやたるみ等の老化現象を引き起こします。また、皮膚がんの主な原因もこの紫外線A波なのです。
一般的な養蚕では、蚕に桑の葉のみを与えますが、絹生活研究所では、“みどりまゆ”がフラボノイドを糸に残せる能力を最大限に生かすため、桑の葉だけではなく、研究を重ねて複数の原料を組み合わせ、みどりまゆに最適で安全な無菌人工飼料を開発しています。
フラボノイドには多くの種類が存在しますが、絹生活研究所で生産したみどりまゆには、5種類のフラボノイドが含まれています。本当はもっと多くの種類が含まれているようですが、検出が難しく、将来にわたって研究を重ねていく内に解明されていくでしょう。
Ⅲ.5種類のフラボノイド
検出されたフラボノイドはこの5種類です。
一つ一つのフラボノイドの効果を文献で調べてみますと、抗酸化作用、チロシナーゼ活性阻害(美白)、抗菌性、傷ついた肌の修復補助、紫外線遮蔽作用、肌への保湿効果、ホルモンバランス調整補助……などなど、嬉しい効果がたくさん報告されています。
Ⅳ.生命の神秘
もちろん、研究でわかった効果ですから、これを期待するには相当な量を頻繁に摂取しなければなりません。ですが、たった数センチのみどりまゆの中に、これだけの能力が秘められているのかと思うと、生命の神秘を感じずにはいられません。絹生活研究所の代表は、よく「天からの贈り物のようだ」と嬉しそうに語っています。
みどりまゆは化粧品への活用だけではなく、医療の分野でも期待されている素材であり、すでに実用化されているものもあります。今後もさらに科学的な検証を重ねつつ、自然に感謝しながら活用していきたいと思っています。