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【シルクとわたし】 第三章 ハイテクなシルクスキンケアの可能性 ビューティーライター 片岡えり

 「肌に優しい」「環境に優しい」「気持ちがいい」。それが、私が自然派化粧品に抱いていたイメージです。何を使っても刺激を感じない鈍感肌、かつ、キメが粗くくすみやたるみもなんとかしたいコンプレックスだらけの肌を持つ私は、優しいだけで現状維持するスキンケアに魅力を感じていませんでした。洗面台に並ぶのは、ドクターズコスメやエイジングケアに強いハイテクコスメ。アグレッシブ上等!だったのです。

ところが更年期に入り、体質も肌質も別人格級にがらりと変化。美容と健康の治安を守る女性ホルモンというガードマンがいなくなった途端に、関節が痛くなったり、ジアミンアレルギーを発症したり、髪が細く薄くなったり、次々に難問が降りかかってきます。強さだけは自信のあった肌も揺らぎやすくなり、一番悩まされたのがボディの乾燥でした。お風呂上がりにどれだけリッチなボディクリームを塗っても、数時間たつとカサつき、痒みを伴うほどパリパリに。もっとも激しいのが脚のスネ。起きている間は何度も塗り直しますが、意識でコントロールできない睡眠中は本能に任せてバリバリ掻きむしってしまうのです。夜な夜なそれを繰り返した私のスネは赤黒く色素沈着し、春や夏も素足を見せることができなくなりました。なじみのエステティシャンにおすすめされた高保湿ボディバームでも力及ばず、最後は皮膚科で処方されたステロイドに頼る始末。でもこれから何年もステロイドを塗り続けるのは嫌だ、とトライ&エラーの日々でした。

そんな中で出会ったのが、Itoguchiのアイコン製品、「みどりまゆBODY&HAIRモイストシャンプー」。きめ細かくクリーミィーな泡で顔も体も髪もデリケートなエリアまで1本でまるっと洗える簡便性と、森ほど重すぎない、かすかな甘さを含む爽やかなシトラスの香りは、メンズ多めの我が家にジャストフィット。使い心地も素晴らしかったけれど、驚いたのはその後でした。シャワーでしっかり洗い流しても仕上がりはもっちりすべすべ。まるで温泉に入った後のように潤い膜で包まれ、慌ててクリームを塗る必要もなし。そして数日後に気づいたのです。「みどりまゆBODY&HAIRモイストシャンプー」で洗った夜は、寝ている間の無意識な“かきむしり”がないことに!正直、そこまで期待はしていませんでした。だって医療用の保湿クリームですら太刀打ちできなかったのだから。その実感は衝撃的で、Itoguchiというブランドはただものじゃないぞ、と思ったものです。

 潤う力を失った大人のボディにとって、パワフルな保湿クリームよりも、お風呂で潤いを残すこと=洗う段階でマイナスにしないことのほうが、はるかに大事だと気づかせてくれたItoguchi。それ以来、ボディの乾燥は落ち着き、スネの色素沈着もほぼ消えました。メンズ3人は、髪や顔まで、きしまずつっぱらずに洗えることを喜び、うっかりボディソープを変えようものなら、すぐさまクレームが飛んでくるレベルです。

もしタイムリープできるなら、子育て真っ最中の30代の私にモイストシャンプーをプレゼントしたい。そうすれば、慌ただしい毎日のバスタイムが快適になり、子供たちとの時間をもっと楽しめたでしょう。

Itoguchiは、優しく心地いいだけの自然派コスメではありません。「みどりまゆBODY&HAIRモイストシャンプー」以外にも、かゆい所に手が届く個性的な商品を多く輩出。たとえば全身に使えるスプレー式の日焼け止め、「みどりまゆBODY&HAIR モイストUVスプレー」は、ノンケミカル処方でありながら、髪や頭皮に吹きかけても白くならずべたつきもなし。バッグに入れて携帯できるサイズ感までよく考えられています。そして24年秋に登場した「みどりまゆモイストリッチマスク」は、くたくたに疲れきった夜の洗顔後に15分間肌に密着させるだけで化粧水からクリームまでのケアを叶えるオールインワンのシートマスク。こんなに手軽なのに、毎日続けて使えばキメの一つ一つがふっくら整い、角層の水分量がアップして光の反射率まで上がるよう。

これらの商品に共通して感じたのは、さまざまな事情で自分に時間も手間もかけられない人、それでも肌を今より上向きにしたい人を救おうとする“熱意”です。そのItoguchiを作っているのはどんな会社なのだろう。好奇心の赴くままに、新潟県十日町市にある「きものブレイン」本社を訪ねました。

今から約50年前、1976年に呉服販売業でスタートし、1983年からシミ抜きや修正、丸洗い、撥水加工などを専門に行う「きものアフターケア」事業を開始。バブルが弾けた後は、着物のレンタルやリサイクルにフォローの風が吹き、アフターケア事業で国内トップシェアにまで成長したそう。障がい者雇用にも積極的で、実雇用率は15%以上。年齢も学歴も多様な約260人の社員がそれぞれの持ち場で意欲的に働いています。その「きものブレイン」が、消滅可能性都市と呼ばれ人口過疎が著しい十日町を活性化するために、新しいシルク産業を、と7年前に始めたのがオリジナルのシルク化粧品開発です。シルク由来成分を用いたスキンケアはいまどき珍しくありませんが、Itoguchiのシルク成分は、野蚕(やさん)の特徴を残す希少な「みどりまゆ」から作られたもの。刺激や乾燥から肌を守るバリアになりかわり、エイジングケアとしても役立つセリシン、フィブロイリン、フラボノイドが、白まゆより豊富な「みどりまゆ」。自社内に大型の無菌工場を完備し、養蚕から製糸、成分の抽出、研究開発、化粧品製造まで一気通貫で手がける「きものブレイン」だからこそ、繊細で純度の高い「みどりまゆ」を安定的に生産でき、シルク成分を贅沢に配合できる。これは他のブランドにない、大きな強みといえるでしょう。

ちなみに、「みどりまゆBODY&HAIRモイストシャンプー」で洗った後に、なぜあれほど潤いが残るのかを尋ねてみると、みどりまゆシルク成分の保湿効果に加え、肌の上でーイオンと+イオンが引き合う性質を利用しているとのこと。これもItoguchiのすごさで、単純に自然の力を生かしているだけではなく、新潟大学や東京農業大学、新潟薬科大学などと共同研究し、常に先進のサイエンスを持って新たな扉を開こうとしています。自社ラボでは、今日も「みどりまゆ」に惚れ込んだ研究者が、可能性を追求中。発酵プロセスによってマイルドなピーリング効果を発揮することもわかってきたそうで、期待は高まるばかりです。

幼児から高齢者、敏感肌も乾燥肌もエイジングスキンも。性別問わず、悩み多き肌を優しく包み込み、前進させる弱者の味方、Itoguchi。基本のコンセプトを守りながら、手間なく、でも積極果敢に、強く美しい肌を追い続けてほしいと思っています。

 

 

片岡えり

ビューティライター

ファッション誌等の編集部勤務を経て、フリーランスのエディター&ライターに。雑誌やWEBを中心に、ジュニアからシニア、スキンケアからインナーケア、トレンドメイク、美容医療まで、人生を豊かにする美容記事を幅広く企画、執筆。

 

 

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